科学的介護の導入によって何が変わるのか

導入による3つのメリット

科学的介護を導入するメリットは主に3つです。「利用者の自立支援」「介護サービスの質向上」「最適な介護サービスの選択」これらが主なメリットであり、介護現場への導入が推し進められています。これまでの介護サービスは、スタッフの経験やスキルに基づいて提供されてきました。科学的介護が導入されれば、それに科学的根拠という一種の「裏付け」が加わり、更なるメリットが生まれます。以下に、それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

利用者の自立支援

介護サービスは利用者の身の回りのお世話をするだけではありません。あくまで利用者が自立した生活を送れるように支援することが目的です。そのためには、曖昧な情報ではなく科学的なエビデンスに基づいた根拠が必要です。科学的介護を導入することにより、利用者の介護度の重度化を防ぎ、自立支援を促せます。
更に、LIFEを用いた計画書を作成することでスタッフ間に共通認識が生まれ、質の高い介護サービスを均一的に提供できます。結果的に業務効率化につながり、スタッフの負担も減ります。

介護サービスの質向上

科学的介護で使用されるLIFEには、全国の介護施設や事業所からのデータが蓄積されています。そのため、あらゆるデータに基づいたフィードバックが可能となり、介護サービスの質向上に向けた取り組みが容易になります。特に人手不足の介護現場ではスタッフへの指導や教育が間に合っていないという実情があります。科学的介護を導入することで、経験の浅いスタッフでもデータに基づいたケアの提供が可能となり、実践力が磨かれます。
また、労働環境や業務内容の改善にも役立ちます。これまでは所属するスタッフの経験やスキルによって提供される介護サービスの質が左右されてきました。科学的介護を導入することにより客観的なデータが手に入るため、本来必要とされる介護サービスが明確になります。

最適な介護サービスの選択

科学的介護の導入は事業所だけでなく介護サービス利用者にもメリットをもたらします。科学的根拠に基づいて計画書を作成するため、利用者は自分に適した介護サービスを選びやすくなります。スタッフや事業所の主観ではなく、あくまで客観的なデータを基に介護サービスを選べます。少子高齢化が進み、介護サービスは今以上に複雑化・多様化することが予想されます。その中で、自分に最も適した介護サービスを容易に選択できるのは社会的にも大きなメリットといえます。