現在の利用状況について
LIFEの利用状況
LIFEは2021年4月より運用が始まりました。介護施設や事業所で行ったケアの内容や利用者の状態を専用ページに登録することで、データベース上で分析された結果が現場にフィードバックされます。運用が始まり少し経過してから行われたアンケート調査によると、2021年7月29日~8月25日の時点で「データ登録まで終えている」と回答があったのは、介護老人保健施設で52.4%、通所リハビリテーションで44.3%、特別養護老人ホームで38.8%、通所介護で30.0%でした。「利用申請予定」までを含むと特別養護老人ホームで88.2%、通所介護で78.1%と、おおむね利用に対して積極的な姿勢を見せている事業所が多いことが分かります。
利用予定のない事業所も一定数存在する
LIFEの導入に意欲的な事業所も多いですが、一方で「利用予定なし」と回答している事業所もあります。通所介護で21.9%、認知症対応型共同生活介護施設で31.4%は「利用予定なし」という結果でした。主な理由として挙げられるのは、データ登録の負担やシステムそのものへの理解に対する懸念です。介護業界全体が人手不足に陥っている中で、LIFEの活用は環境改善に向けた有効策であることに間違いありませんが、登録作業や新しいシステムへの理解に対する負担をどのように軽減するかが課題となっています。
加算の算定状況
新設された加算の算定状況については、割合の高い順から介護老人保健施設で56.3%、通所リハビリテーションで45.3%、特別養護老人ホームで40.9%、通所介護で31.5%でした。算定開始月についてはほとんどが4月からとなっています。データ提出の猶予期間が設けられたこともありますが、多くの事業所が年度始めから算定に向けた準備を進めていたことが分かります。介護ソフトへの対応を急いでいる事業所も多く、LIFEの導入や加算取得に向けた流れは今後も加速していくことが予想されます。
フィードバックの現状
LIFEによるフィードバックの活用がどの程度行われているかを見てみましょう。厚生労働省老健局では、データの活用について現状は全国集計値のみをフィードバックしていますが、今後は事業所単位や利用者単位でのフィードバックを行っていく予定であると説明しています。全国の介護施設や事業所で登録した情報を集計するに留まっているのが現状なので、まだ運営状況や利用者の内訳を比較する程度にしかデータを活用できません。しかし、これは始まったばかりの制度であることが大きな要因です。今後は随時、蓄積されたデータを基に有効なフィードバックが現場に送られ、活用されていくようになるでしょう。